まゆびらき日記

虚実ないまぜの日記と小説。

もういっぱい頑張ったから自分を許そう

私、めちゃくちゃ頑張った。現職の仕事。だからもういいや。もう知らん。自由だ。自由なのだ。私は自由。

今いる部署の中で、私はおそらく一番仕事ができた。でも、それを認めるまでに時間がかかった。いくら私が大きな顧客を任されているからって、別に私ができるからではない、先輩たちだってよく見ればそれぞれに得意なところもいいところもあるし、私にしかそれができない訳ではない、だから謙虚に頑張ろう、と思っていた。

でも一方で、一番仕事ができる人になりたいと思っていた。誰にも負けたくなかった。「何年か後にはエースになっているだろう」と言われたことがあったが、何故今ではないのか何が足りないのかと不満だった。

そうしているうちに、私の仕事が膨れ上がっていった。自信の無さと野心。その二つがうまく両輪で回ってしまった。キャパを超えた仕事に対して、もうできませんと言うことが嫌でギリギリまで頑張ってしまった。心が折れかけて半年前くらいから仕事を減らしてもらえないか訴え始めた。でも、無理だった。私がやるしかないんだと絶望感の中、腹をくくった日もあった。

だんだんと感情のコントロールが効かなくなり、好きな趣味もできなくなった。既にとっていたチケットを何枚か無駄にした。人に少し休んだ方がいいと勧められて、休んだ。その間、転職活動をしたらすんなりと転職が決まってしまった。

数年しかいなかったのに、その数年が本当に長かったように感じる。特に、気持ちがおかしくなり始めてからの期間は。上司には「春になれば少し仕事も落ち着くだろう」「春頃には役職も仕事の分担も変えられると思うから少し待ってほしい」と秋頃から言われ続けてきたが本当に春が遠かった。中々春にならないなと思いながら半年間を過ごしたが、春が来るより先におかしくなってしまった。遅かったのだ。彼らはいつも遅い。私たちとは生きる速度が違う、と若手同士で話しているといつも思う。

そんなこんなで辞めることを決めたのだが引き継ぎがあまりに大変で途中何度か泣き言を吐いた。それだけの仕事量をこなしてきたのだ。そして、それだけ複雑なことをやってきたのだ。

私が苦しんだことを人にも課すのが忍びなくて、仕組みを変えようと奔走もした。やりかけの仕事は終わらせてから引き渡そうともした。いくつかの成果をあげた。だけど途中で気づいた。引き継がれる側の人も及び腰で、本気でやろうとしていなかった。無理ですとかやれる自信ありませんとか、平気で言う。少しでも彼らが楽になってうまく仕事が回るようにと奔走してきたのに。私がやってきた頃に比べたら随分と楽になってきたはずなのに。

でもきっと、私がそうやって奔走して完璧に引き継ごうとしてしまうから、引き継がれる側も本気になれないのだろうと気づいた。もう、全部放り投げて、任せてしまうべきなのだ。それが引き継ぎということだ。私は十分にやった。そう思うことにした。全ての力が抜けた。もう残業もしない。毎日定時に帰る。

私は自由だ!もう、自由なんだ!
もしかしたら引き継ぎは、完璧じゃないかもしれないけど、これまでずっと頑張ってきたのだからもう自分を許そう。