まゆびらき日記

虚実ないまぜの日記と小説。

睡眠と磐梯山

朝起きると抱き枕の上に乗っていた。眠ていた間の記憶が全くない。とてもぐっすりと寝ていた。ここ数日腰痛のせいで何度か夜中に起きてしまっていた。昨夜はそれがなかった。だからこそ、スッキリと起きられた一方でベッドから出たくなくって二度寝を決め込んだ。こんな風に心地よく睡眠を貪れるのならばいくらでも寝ていたいと思った。しかし残念ながらすぐに二度めのアラームが鳴り、私はしぶしぶ体をベッドから起こした。

今日は気持ちよく晴れた日で、空を見上げた瞬間どこか遠くに行きたくなった。鈍行電車に乗ってどこまでも遠くへ。たとえば三時間から五時間くらい揺られたらどこまでいけるだろう。路線にもよって異なるけれど、海のある街に行くのとハイキングコースでもありそうな山を目指すのとではどちらが良いだろうか。中学生の頃に学校行事で行った磐梯山の五色湖はどうだろう。あそこは良かった。当時は苦手なグループ行動をどう乗り切るのかということにばかり注意が行っていて景色や山の空気を愉しむことは二の次だった。あの頃私にはほとんど友達がいなかった。成績はよく、先生は好意的だったけれど、生徒には遠巻きにされていた。けれど一人で林間学校の行程をすべてやり過ごすわけにはいかず、必死だった。そんな状態で観たものであっても、あの湖の冷たい、宝石みたいな色は、脳裏に刻み込まれて今でも忘れられない。

私は暗い色のセーターと暗い色のズボンに着替え、コートを着て家を出た。結局磐梯山には行かず職場で淡々と仕事をしてから淡々と帰宅した。いつも通りの日常だった。大人になった私が見る五色湖は私にどんなインスピレーションや気持ちを与えるだろうか。久しぶりに福島に行きたくなってしまった。

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