まゆびらき日記

虚実ないまぜの日記と小説。

影響力

私は自己評価があまり高くないので自分の影響力なんてことを考えたことがなかった。私が何をしようと人や会社に影響を及ぼすはずがないと思っていた。少し前までは。

もちろん、意図してインパクトを与えようと行動することもある。それは別だ。でも、何気ない言動や行動、自分だけで行った自分の人生についての決断……、そういうものが他人の心に作用することがある、というのは実感が持てなかった。

でもよくよく考えれば、私だって恋人や友人の言ったこと、行動、ハマっているもの……、同僚の何気ない一言、尊敬する上司や先輩……、いろんな人の影響を受けながら生きている。いいなと思ったら取り入れるし感じることがあれば考える。人が行動を起こす理由って必ずしも一つの理由だけではないから、大きな影響、というわけではなかったにしても、私が人を動かす理由の一つになりうるということがわかって、なんだか不思議な気分だった。

私が仕事を辞めることがきっかけになって、一つの行動を起こした人がいた。その結果が実り、個人としては一つの転機に、会社にとっては大きなインパクトを与える出来事に、繋がった。それは、私にとってはなんだか不思議なことだった。特にそれが、尊敬する年上の人だったからこそ。あんなすごい人に、目上の人に、貰うばかりじゃなく、何かを与える(きっかけの一つになる?)こともできたんだ、と思うと、不思議な感慨が湧く。嬉しいとか楽しいとか、逆に悲しいとか、そういうわかりやすい気持ちではなく……。なんて言ったらいいか、まだその気持ちを言葉にできない。

ある人が、人生は一つの道を選んだら元の道には戻れない、前に進むしかない、と言った。誰もが、影響を与え、与えられながら、別れ道のうちのどちらを進むか選び続けている。一昨日は右の道、昨日も右の道、今日も右の道、だから明日も右、明後日も右。そう思っていたけれどある時何かきっかけがあって、今日の選択が左の道になる。不思議だ。不思議で、面白いことだ。

なんだか、ちゃんと生きよう、と思った。襟を正されるような気持ち。6月から始まる仕事……新しい選択の先にある仕事。頑張ろう。この選択が、そしてこの選択が与えた影響が、後から振り返ってみてよかったなと思えるように。